よみがえる変態/星野源
23/01/2021
本屋と楽器屋が好きだ。
店内にいるだけで不思議な高揚感にみまわれ、欲しいものが無くても居座れる。
本は好きだが日常的に本を読んでいるわけでは無く、月に2〜4冊読む程度。
ただ、"読書の波"が来た時には日常に影響が出るほど読み続けてしまう。
久しぶりに日本の大きな本屋でテンション上がってしまい、読んだ事が無い作家の文庫を何冊か購入。
とりあえず読みやすそうな「よみがえる変態/星野源」を読み始めた。
連載していたコラムをまとめた文庫らしく、最初のコラムのタイトルが
おっぱい
だった。なんとまあ興味をそそられ読みやすそうなタイトルでは無いですか。
そんなわけで、おっぱいについて詳しくなっちゃうぜ!とアホ全開で読み進める。
要約すると、
死にたくなった時に「おっぱい揉みたい」と言葉に出すと少し幸せな気持ちになりますよ。
って事なんだが(星野源が言っているわけでは無い)。
うーん。
なんだかなぁ。
死にたくなった時に「おっぱい揉みたい」って言ったとして、実際に揉める相手が居なかったら余計に死にたくならないか?
と言う疑問が頭から離れなかった。
彼に言わせると、実際に揉まなくても大丈夫。声に出しただけで色々な事がどうでもよくなってくる。とのこと。
死にたいくらい絶望的な事があって死にたいのに「おっぱい揉みたい」って言葉に出したら、実際に揉めないと死にたくならないか?(笑)
絶望の中で自分にはおっぱい揉む相手も居ないのか。と余計絶望しないか?
星野さんは”おっぱい”と言う単語自体に癒しの能力が隠されているのでは無いか?と考えているようだが、俺にはあまりわからなかった。
言いたいことはもちろんスゲーわかるよ。
ただ、おっぱいと言う言葉では俺は無理(笑)
そんなわけで、なんだかなーと言う気分でおっぱいを6ページ読んで読むのをやめ、読んでない本ビルの最上階に置かせてもらった。
帰国後、仕事も無く時間があったので本屋には何度か足を運び、いつの間にか読んでない本ビルの高層化が進んでいた。
読まないと!って思えば思うほど読まなくなるのが人間で、余計に読書欲求が減っていった。
ビルがどれだけ高層化しようとも困らないけど、勿体無いなとは思っていた。
たまたま入った革製品屋さんでブックカバーなるものを見つけた。
本を読むときはカバーを外して装丁無しで読むのが好きなので、今までブックカバーなんて使わないし、邪魔でしょ!って考えだった。
帯なんて最初に捨てる。素敵な表紙が台無しだからだ。
ちなみに栞も使わない。
読んだら読んだところまで覚えてるはずなので必要ない気がするし、どこまで読んだのかをパラパラ探すのも少しだけ読み返ししつつになるので、思い出せるし内容の覚えも良い。
もちろん栞の意義もわかってるよ。ページめくって探すよりもちょっと早く目的のページがわかったり、栞の位置で今全体のどの辺り読んでるかわかるって事でしょ。それはわかってる。
今では推理、フィクションエンターテイメントはほぼ読まないので、本を読むと言うよりも自分の知識にすることに重きを置いているんだと自己分析。あとは読書は現実逃避の意味合いも俺にはある。読んでる間は本の事考えてれば良いからね。
ディスプレイされているブックカバーの中身は伊坂幸太郎、昔大好きだったな。
これって何かのタイミングなのか?
ブックカバーを買えば、カバーを使う為に本読むんじゃないのか?と考え、モスグリーンの牛革のブックカバーを購入。
買った事が無いものを買うのもたまには良いね。少しワクワクする。
そんなわけで早速よみがえる変態(以下、変態と略す)をブックカバーに差し込もうとするが、狭くて奥まで入らない。
そんなはずはない!俺がブックカバーへの本の入れ方知らないだけだ!と自分に言いきかせて変態を強引に押し込む。
なんとか入れようとするのだが表紙がグチャグチャ。
ふざけんな!ってマジで思ったね。
ブックカバーにしては高かったんだよ。本皮だし。なのにクオリティ低すぎ!
速攻で店に行って返品しますって。
店員が店にディスプレイされてる文庫で試して見るとすんなり入る。
ちなみに俺は積み本ビルの中からさらに2冊の本の表紙をグシャグシャにされているので、自信を持って言いました。
「おそらく、この伊坂幸太郎の文庫が小さいんだよ。」
中古本かはわからないけど、中古なら天と地と小口は削って綺麗にされているからサイスが小さくなる事は実際にあるんだと。力説してみた。
予想はしてたけど、信じてくれない。
そもそも変態を家に忘れて、入らないことを証明できてない俺も悪いんだけど、ね。
最終的に店員さんと本屋に行って確かめることになって、それでわかってもらえた。
気分的には2度とブックカバー買わん。
返品しますって言ったのに、なんとか交換で許してもらえないですか?的な押しに負けて、交換と相成りました。
自分でも意外なのだが、大事な事以外は押しに弱いんだ。
そんで、昨日やっとブックカバーが届いた。
実際もうどうでもよくて、本もしばらく読まねー。ぐらいになってたのだが、とりあえずグシャグシャの変態をぶち込んでみる。
流石に今度はすんなり入った。
ブックカバーに本が入ることに対して少しだけ嬉しくなってしまった。
当たり前の事なのに。
「シャーペンをノックすると芯が出るぅぅぅ!!!」って喜んでる人いたら、アホか右脳の人でしょ(笑)
そんなわけで、綺麗にカバーに収まった変態をいろんな角度から眺めて少しだけ悦に入ったり、ページをパラパラとめくってみたり、人生初のブックカバー(交換品)を堪能しているうちに再度のおっぱいを含め読み終わっていた。2時間くらいかな。
おっぱいを読んだ時点で、このままくだらない話だったら途中で読むのやめるかもなーなんて思ってた。
実際内容的には下品でくだらない中に何かを見つける(見つけて)的なコラムだったのだが、面白かった。コラムなんて下品なくらいでちょうどいいのだ。
しかし連載コラムなのに連載中に星野さんにいろんな事がありすぎたようで後半は自伝?小説みたいになっちゃって、最後の方なんかは星野さんの成長?に感銘を受けたりした。
読むまで知らなかったけど音楽家、役者だったんですね。
共感できることも多くて、アレンジャーの話は、ほんとそうだよなーって思うし、
カバーアルバムについての意見なんかは全くもってその通りで、
楽だからか、それとも楽しいからか、売れるからか、最近は若いアーティストもカバーアルバムをよく出している。自身で作詞や作曲を行わない歌手の方ならわかるが、オリジナルを作り出してなんぼのシンガーソングライターやバンドが、産みの苦しみのないカバー作品を出すというのはどんな気持ちなんだろう。
ホントそれ思うよ。そんで歌手についても言いたい事あるよ。
母親の車でかかってた女性歌手が昭和〜平成の名曲をカバーしたアルバム。
正直ドン引きするくらい酷い出来で、自分を下げるようなアルバムをよく出せるなぁと。
ポケットビスケッ○を聴いた時のような嫌悪感を覚えた。
個人的な意見だけど、カバーを出す人は原曲を超えたという自信が無い限りリリースしない方が無難では無いだろうか?
あと歌が下手なのにカバーとかしない方が、、、
アイドル関係は目的が別としても。
美空ひばり、加藤登紀子、尾崎豊、中森明菜、徳永英明、小田和正、宇多田ヒカル、中島みゆき、小沢健二、松任谷由美。俺の思うすげーなこの人というソロ歌手を何人かあげてみた。
鮮明に思い起こされる感情がある歌声だったら歌い方だったり。
最強のASKA忘れてた(笑)
そのまま何故かマッキーも連想されて、嗚呼、彼もそうだ(色んな意味で)と気づいてニヤけた。
とまぁ、音楽の話になると多少どころか相当熱くなってしまうので、話を変態に戻すとして、
いくつか良い言葉があったので、メモ。
生きた証や実感というものは、その人の外的行動の多さに比例するのではなく、胸の中にある心の振り子の振り幅の大きさに比例するのだ。
良いこと言うね。自分が感動する事が大事って事だよね。わかる。
それと、あとがきの後にある文庫化に際してのあとがきも面白かった。
「もうどうにもならない」「世の中は良い感じになどならない」。どんなに頑張ってもこの世は馬鹿なままだし、最悪になっていく一方だよ。例えば昔の自分にそう言っても、きっちり「いや、そんなことはない」と言うでしょう。そこが彼のとても良いところだなと思います。
もうそのような気持ちでいることはできませんが、私は知っています。世間を面白くするには、世間を面白くしようとするのではなく、ただ自分が面白いと思うことを黙々とやっていくしかないのだと。
同感。
星野さん良いね。ひとつ悟ってるね。
俺も思うんだよね、俺が生きている間には世界は良くならない。って。
そりゃ良くなったら良いなとは思う、そもそも99%以上の人がそう思ってるはず。
ただ、俺の残りの人生でそれを実感することは無いんじゃないかな。
昔はね、あの首相が変わればとか、3.11の震災をキッカケに大衆が運動を起こして、とか、三宅洋平が当選すれば、、、と完璧な他力本願なのに日本は良くなるかも!って結構期待してた。アホだ。
ただ、自分の周りだけは良くする事は出来るんじゃないかな?とは思って生きてる。
(”良くする”って言葉も難しいんだけどさ、人生を楽しくするに近いニュアンス)
胡散臭いスピリチュアル系の人達が世界を良くするために同時に瞑想をとか、署名をとか、たまに見るけど、本気で世界を良くしたいならまず政治家になれよ、って思うね。
(瞑想と署名を悪く言っているわけでは無い)
日本で大衆から世間が良くなることって無い、良くしたいなら上に行くしかない。
※去年のチリみたいに不正のなさそうな国民投票が出来る国であれば話は違うが。
伊坂さんの小説でうろ覚えだけど、ある男が総理大臣に立候補して、日本を良くできなければテレビの前で切腹します。と発言して、世間で話題になり本当に切腹するのかよ?と面白半分で投票した人が超多くて、当選。
秘書が持っている秘密の能力を利用して日本が素敵な国になった。と言う話があるが、それくらいの気概でやらないと無理でしょうし、秘密能力を持ってる秘書も居ないので実際はスゲー大変。
三宅洋平も山田太郎も無理だったんだよ。彼等より能力的に劣ってて、勉強もしてない人が何言っても無理(笑)
またしてもの乱文で趣旨が全くわからなくなってしまったが、
本の感想と、何かをするときに形から入るのは悪いことじゃ無いよねー。って事が言いたかったんだと思う。
形からでも入ってしまえば何か得るものがあるんじゃ無いかな?
タイトルが良いよね、よみがえる変態。
ちなみに
人間よりも長い歴史を持つ動物たちを「普通」としたら、服を着て着飾ったり、向かい合ってセックスする事を正常位とする人間はもうフェティッシュの固まりだし、みな変態です。
つまり「変態である事、それはすなわち普通の人間である証明」なのだと思います。
だそうですよ(笑)
普通と変態を分ける物差しが哺乳類。ほんと変態だわ。